COVID-19罹患中の脳卒中は、大血管閉塞、若年者が多い
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴い脳卒中リスクが上昇することが示唆されているが、その実態に関する多国籍大規模調査の結果が報告された。COVID-19関連脳卒中は、一般的な脳卒中に比較し大血管の閉塞や若年者が多いことが明らかになった。米ガイシンガー・ヘルスシステムのShima Shahjouei氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」5月号に掲載された。
この研究は、32カ国、136の高度医療機関が参加する国際共同前向き研究として実施された。参加医療機関のうち、2020年6月10日までに、17カ国の71施設が少なくとも1人以上のCOVID-19関連脳卒中患者を受け入れていた。各施設のCOVID-19関連脳卒中患者、連続432症例を対象として、患者背景や脳卒中の病型、血管閉塞部位、行われた治療などを検討した。
まず、脳卒中の病型を見ると、急性虚血性脳卒中が323人(74.8%)、頭蓋内出血が91人(21.1%)、脳静脈洞血栓症が18人(4.2%)だった。性別は男性が249人(57.6%)で、年齢は平均65.7±15.7歳であり、104人(24.1%)は55歳未満だった。また、105人(24.4%)は血管イベントのリスク因子を保有していなかった。
283人については、血管閉塞部位に関するデータを得られた。そのデータを解析すると、急性虚血性脳卒中患者のうち44.5%が大血管閉塞で占められ、10%は小動脈閉塞だった。また、急性虚血性脳卒中患者の脳卒中重症度は、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)の中央値で9(四分位範囲4~17)だった。
380人については、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)への感染から脳卒中発症までの期間が明らかにされていた。そのうち、144人(37.8%)は、脳卒中による入院の時点でSARS-CoV-2感染に関しては症状が現れていなかった。脳卒中発症時点に無症候だった群は、COVID-19の症状発現後に脳卒中を発症した群に比較し、年齢や性別に有意差はなかったが、院内死亡率が有意に高かった。
医療費が高額な国(国民1人当たり年間1万米ドル超)と、そうでない国とを比較した場合、後者でNIHSSが有意に高いことも示された〔前者が中央値8(四分位範囲3~17)で後者は11(同5~17)、P=0.02〕。一方、機械的血栓回収療法の施行率は、前者の方が高かった(12.4対2%、P<0.001)。
著者らは、「COVID-19患者の脳卒中は大血管閉塞であることが多く、若年者にも少なくないことが明らかになった」と結論を述べている。
なお、数名の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2021年6月14日)
Abstract/Full Text
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.120.032927
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