COVID-19患者の4人中3人以上が4週を超えて有症状
米疾病対策センター(CDC)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)専門チームのValentine Wanga氏らが行った調査により、COVID-19患者の76.2%が何らかの症状を4週間以上にわたって抱えていることが明らかになった。詳細はCDC発行「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」9月10日号に掲載された。
この研究は、米国の18歳以上の成人が登録されているサンプルを利用したインターネット調査として、2021年4月9~23日に行われた。性別、年齢、人種/民族、地域、および教育歴が、米国の国勢調査データの分布に一致するように調整され抽出された、6,021人の回答が解析に用いられた。
自己申告に基づき解析対象者全体を、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性と判定されたことのある698人(陽性群)、常に陰性と判定されていた(一度も陽性と判定されたことのない)2,437人(陰性群)、およびSARS-CoV-2検査を受けていない2,750人の3群に分類。SARS-CoV-2陽性群と陰性群を比較すると、前者は年齢が若く(中央値39.3対45.3歳)、就労率(70.5対61.6%)や世帯年収(6万ドル以上の割合が50.8対43.9%)が高く、都市部の居住者が多かった(43.8対37.6%)。
SARS-CoV-2陽性群に対して「検査を受けた月に、どのような症状が現れたか」などを質問し、一方、SARS-CoV-2陰性群に対しては「2020年1月以降に、どのような症状が現れたか」などを質問。その回答を解析した結果、SARS-CoV-2陽性群は陰性群に比較して、症状が4週間を超えて持続した割合(65.9対42.9%)、および、倦怠感(22.5対12.0%)、嗅覚・味覚異常(17.3対1.7%)、息切れ(15.5対5.2%)、咳嗽(14.5対4.9%)、頭痛(13.8対9.9%)の発現頻度が有意に高かった(頭痛を除いて全てP<0.05)。
何らかの症状があった人を合計すると、SARS-CoV-2陽性群の86.5%、陰性群の61.7%が該当。その有症状者の中で、出現した症状のうち少なくとも一つ以上が4週間を超えて持続したと回答した人の割合は、陰性群での69.6%に対して陽性群は76.2%であり有意に多かった(P=0.005)。SARS-CoV-2陽性群で4週間を超えて持続している症状としては、脱毛(58.3%)、認知機能障害(55.5%)、息切れ(52.8%)、わずかな肉体的・精神的負荷での症状の悪化(49.6%)、倦怠感(48.4%)、嗅覚・味覚異常(46.4%)、咳嗽(36.2%)、頭痛(31.1%)などが挙げられた。
このほか、陽性群は陰性群に比し、医療機関の受診率(54.1対42.5%、P<0.001)、救急部門の受診率(19.5対14.0%、P=0.008)が有意に高いものの、入院率(10.4対9.3%、P=0.492)には有意差がなかった。また陽性群は、1回以上のワクチン接種率が有意に低かった(28.3対39.4%、P<0.001)。
4週間を超えて持続する症状を報告した群内での検討では、陰性群より陽性群の方が、「症状が持続していることがワクチン接種を検討する動機となった」との回答が有意に多く(11.0対7.0%、P=0.023)、「ワクチン接種により持続する症状が改善した」との回答も有意に多かった(28.7対15.7%、P=0.023)。
著者らは、「これらの調査結果は公衆衛生対策、COVID-19から回復後にも症状が持続する人のケアと管理、およびワクチン接種推進政策の検討に有用」と述べ、また「医療者がLong COVIDで見られる一般的な症状を理解し、最適な治療と患者支援を実践する際に役立つ情報だ」と語っている。(HealthDay News 2021年9月13日)
Abstract/Full Text
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7036a1.htm?s_cid=mm7036a1_w
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