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COVID-19透析患者の予後予測因子が明らかに――全国コホート研究

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した維持透析患者の予後予測因子が明らかになった。レムデシビルによる予後改善効果が認められたという。日本透析医会、日本透析医学会、日本腎臓学会によるCOVID-19対策合同委員会が実施した全国コホート研究の結果であり、下落合クリニック院長の菊地勘氏らによる論文が「Renal Replacement Therapy」に10月21日掲載された。

 前記3学会のCOVID-19対策合同委員会は、国内初のCOVID-19患者が報告された直後に設置され、全国規模で透析患者のCOVID-19罹患状況等を継続調査している。今回報告された研究は、パンデミック第4波が収束した2021年6月19日までに登録されたCOVID-19透析患者1,948人から、転帰不明者などを除外した1,010人のデータを解析したもの。

 解析対象者のうち699人(69.2%)は回復し、311人(30.8%)は死亡していた。死亡した患者群は、高齢で透析歴が長いという点で有意差があったが、性別や原疾患には差がなかった。併存疾患については、心血管疾患と末梢動脈疾患の有病率が死亡群で有意に高く、高血圧や糖尿病、呼吸器疾患、がんの有病率は有意差がなかった。

 COVID-19に対して行われた治療内容を見ると、死亡群では呼吸管理(酸素投与、人工呼吸器や体外式膜型人工肺の使用)やデキサメタゾン投与が行われていた患者が多かった。血液検査データを入手し得た311人での検討では、死亡群は回復群に比べクレアチニン(8.8±3.5対10.1±4.1mg/dL、P=0.004)とアルブミン(2.9±0.6対3.3±0.6g/dL、P<0.001)が有意に低く、CRPが有意に高値(中央値7.1対2.0mg/dL、P<0.001)だった。またBMIは死亡群の方が有意に低かった(22.0±4.6対23.5±5.3、P=0.01)。

 多変量解析の結果、死亡リスクの上昇と独立して関連する因子として、70歳以上〔60歳未満に対してハザード比(HR)4.92(95%信頼区間3.10~7.80)〕、透析歴の長さ〔1年未満に対して1~5年ではHR2.07(同1.21~3.53)〕、末梢動脈疾患〔HR1.49(1.05~2.10)〕、およびデキサメタゾン投与〔HR1.36(1.01~1.83)〕や種々の呼吸管理〔酸素投与ではHR3.44(2.06~5.73)〕が抽出された。

 一方、レムデシビルの投与は死亡リスクの低下と独立して関連していた〔HR0.60(0.37~0.98)〕。そこで、年齢と呼吸管理の施行状況を傾向スコアで一致させ、レムデシビルが投与されていた患者と投与されていなかった患者を1対3の割合(98人と294人)で抽出し比較。その結果、レムデシビル投与群は死亡リスクが有意に低く〔HR0.45(0.26~0.80)〕、Log-rank検定で生存期間の有意な延長が認められた(P=0.004)。また、在院日数もレムデシビル投与群の方が有意に短かった〔群間差4.7日(2.2~7.4)、P<0.001)〕。

 このほか、アルブミンが1g/dL高いごとに死亡リスクが半減すること〔HR0.48(0.24~0.97)〕、血液透析患者と腹膜透析患者では予後に差がないことなどが明らかになった。

 これらの結果から著者らは、「国内の透析患者のCOVID-19による死亡率は30.8%と高く、一般人口の20倍に上る。これは海外からの報告と一致しており、日本に特異的なことではないものの、透析患者の感染対策の徹底が求められる」と述べ、また「COVID-19透析患者へのレムデシビルによる治療は、入院期間の短縮と死亡リスクの抑制につながるようだ」と総括している。(HealthDay News 2021年11月15日)



Abstract/Full Text
https://rrtjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41100-021-00378-0

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Photo Credit: Adobe Stock

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