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免疫不全患者に好発するCOVID-19ブレイクスルー感染の実態

 免疫不全状態にある場合、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種後の感染、いわゆるブレイクスルー感染のリスクが極めて高いという実態が明らかになった。米ファイザー社のManuela Di Fusco氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Medical Economics」に11月30日掲載された。ブレイクスルー感染の38.2%を免疫不全状態にある人が占めているという。

 この研究は、米国の患者データサービス企業であるHealthVerity社のデータベースを用いて行われた。2020年12月10日~2021年7月8日に、16歳以上でファイザー社製BNT162b2の接種を完了(2回目の接種から14日以上経過)していたのは127万7,747人だった。

 コホート全体の17.7%に当たる22万5,796人(年齢中央値58歳、女性56.3%)に、何らかの免疫不全状態が認められた。免疫不全の原因は固形がんが最も多く32.0%を占め、次いで腎臓病(慢性腎臓病または末期腎不全)が19.5%であり、リウマチ/その他の炎症が16.7%だった。また、16.9%は免疫不全の原因が2つ以上重複していた。

 978人のブレイクスルー感染が記録されており、そのうち124人(12.7%)は入院を要し、2人(0.2%)は死亡していた。ブレイクスルー感染の38.2%を免疫不全状態にある人で占めており、さらに入院を要した患者では59.7%を占め、また死亡した2人はいずれも免疫不全状態だった。

 ブレイクスルー感染の発生率は、免疫正常群では0.06%であるのに対して、免疫不全群では0.18%、100人年当たりではそれぞれ0.34(95%信頼区間0.32~0.37)と0.89(同0.80~0.98)であり、約3倍の開きがあった。

 免疫不全の原因別にブレイクスルー感染の発生率を比較すると、臓器移植レシピエント(骨髄移植以外)で最も高く、100人年当たり3.66(1.19~8.54)であり、免疫正常群の10倍以上の頻度だった。次いで原発性免疫不全症候群が100人年当たり1.13(同0.45~2.33)であり、血液がん1.09(0.30~2.80)、腎臓病0.95(0.75~1.19)、リウマチ/その他の炎症0.82(0.62~1.06)、HIV/AIDS0.71(0.15~2.07)と続いた。免疫不全の原因として最も多い固形がん患者のブレイクスルー感染の発生率は0.56(0.44~0.70)であり、免疫不全群の中では比較的低かった。そのほか、免疫不全の原因が2つ以上重複している場合のブレイクスルー感染の発生率は、1.70(1.41~2.03)だった。

 年齢層別の解析では、高齢者にブレイクスルー感染が多いことが分かった。具体的には、65歳未満の免疫正常群では100人年当たり0.31(0.28~0.34)、免疫不全群では0.71(0.62~0.80)であるのに対して、65歳以上では同順に、0.65(0.53~0.77)、1.50(1.26~1.76)だった。

 著者らは、「ビッグデータを用いた本研究の結果、米食品医薬品局(FDA)によるワクチン追加接種の承認や、米疾病対策センター(CDC)による免疫不全状態にある人への追加接種を優先すべきとする推奨の裏付けが得られた」と述べている。

 なお、本研究はBNT162b2ワクチンのメーカーであるファイザー社の資金提供により実施され、数人の著者は同社社員であるか同社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年12月15日)



https://consumer.healthday.com/immunocompromised-account-for-serious-covid-breakthrough-cases-2655906700.html

Abstract/Full Text
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13696998.2021.2002063

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Photo Credit: Adobe Stock

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