外来COVID-19患者へのレムデシビル投与で入院リスクが低下
初診時に入院を要さないと判断された、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者に対しレムデシビルを投与することにより、その後の入院リスクが有意に低下することが明らかになった。米ベイラー医科大学のRobert L. Gottlieb氏らの研究結果であり、詳細は「The New England Journal of Medicine」に12月22日掲載された。
これまでのところ、COVID-19に対するレムデシビルによる治療は、中等症から重症で入院を要する患者を対象に行われてきており、同薬が入院を要さない患者の臨床転帰をも改善するかは不明だった。本研究では、プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験にて、この点が検討された。
解析対象は、過去7日以内にCOVID-19を発症し、疾患進行のリスク因子〔60歳以上、肥満、または基礎疾患(高血圧、心・脳血管疾患、糖尿病、免疫不全、腎疾患、肝疾患、肺疾患、がんなど)〕を1つ以上有する12歳以上の非入院患者562人。平均年齢は50±15歳で、47.9%が女性、41.8%がヒスパニックまたはラテン系だった。基礎疾患として、糖尿病(61.6%)、肥満(55.2%)、高血圧(47.7%)などが多く見られた。
無作為にレムデシビル群279人とプラセボ群283人に割り付け、レムデシビルまたはプラセボを、1日目は200mg、2日目と3日目には100mgを静脈内投与。一次評価項目は、28日目までのCOVID-19による入院および全死亡という複合エンドポイントで、副次評価項目としてCOVID-19による再受診などを設定した。
28日目までにCOVID-19による入院を要した患者は、レムデシビル群2人(0.7%)、プラセボ群15人(5.3%)だった。これらの入院は全て、14日目までに発生していた。28日目までの死亡は両群ともに見られなかった。結果として一次評価項目のイベント発生リスクは、レムデシビル群の方が87%低かった〔ハザード比(HR)0.13(95%信頼区間0.03~0.59)〕。二次評価項目である28日目までのCOVID-19による再受診も、レムデシビル群4人(1.6%)、プラセボ群21人(8.3%)であり、レムデシビル群の方が81%、低リスクだった〔HR0.19(同0.07~0.56)〕。
事前に設定されていたサブグループ解析の結果、60歳以上、男性、糖尿病、肥満、高血圧のいずれについても、全体解析と同様、レムデシビル群の方が有意に低リスクだった。有害事象はレムデシビル群118人(42.3%)、プラセボ群131人(46.3%)で発生。重篤な有害事象は同順に1.8%、6.7%であり、レムデシビル群の方が少なかった。
著者らは、「本研究の結果は、初診時に軽症ながら重症化リスク因子を有するCOVID-19に脆弱な患者に対する、新たな治療選択肢を示すものだ」と述べている。
なお、本研究は、レムデシビルのメーカーであるギリアド・サイエンシズ社の資金提供により実施された。(HealthDay News 2021年12月23日)
https://consumer.healthday.com/three-days-of-remdesivir-cuts-risk-of-severe-covid-in-outpatients-2656090041.html
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2116846
Editorial
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe2118579
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