オミクロン株に対するワクチン有効率はデルタ株より低下
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の新規変異株であるオミクロン株に対するワクチンの有効率は、デルタ株に対する有効率よりも低いとする研究報告が、「The New England Journal of Medicine」に12月29日、レターとして掲載された。オミクロン株が世界で最初に報告された南アフリカ発のデータであり、同国で健康保険サービスを展開しているディスカバリー・ヘルスのShirley Collie氏らの研究によるもの。
Collie氏らはファイザー社製ワクチンBNT162b2の有効率を、南アフリカ国内でデルタ株が優勢だった2021年9月1日~10月30日(対照期)と、オミクロン株への移行期間と考えられる2021年11月15日~12月7日(移行期)とで比較した。対照期には13万3,437回のPCR検査の記録があり、そのうち3万8,155回(28.6%)は、2回目のワクチン接種から14日以上経過後に実施されていた。移行期には7万8,173回のPCR検査の記録があり、そのうち3万2,325回(41.4%)が、ワクチンの2回目接種から14日目以降に実施されたものだった。
PCR検査結果の全体的な陽性率は、デルタ株が優勢であった対照期が6.4%、オミクロン株への移行期は24.4%であった。また、陽性者に占める新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者の割合は、同順に10.8%と2.2%だった。
ワクチンの有効率は、対照期が93%(95%信頼区間90~94)であったのに対して、移行期は70%(同62~76)へと有意に低下していた。PCR検査の結果からオミクロン株への感染と確認された患者に限った解析では、有効率は69%(同48~81)であり、オミクロン株が最初に報告されたハウテン州の患者に限ると有効率70%(同59~78)、入院患者に限ると有効率50%(35~62)と計算された。
また、オミクロン株への感染はデルタ株に比較し、若年者に多いことも明らかになった。例えば、デルタ株が優勢の対照期ではCOVID-19患者数に占める18~29歳の患者の割合が5.8%であったのに対して、オミクロン株への移行期では14.5%であり、30~39歳の占める割合は同順に15.8%、24.2%だった。
以上の結果から著者らは、「オミクロン株への移行期間中にもBNT162b2ワクチンは引き続き有効ではあるが、有効率は低下した」と結論付けるとともに、「ワクチンの追加接種によって、この有効率低下に歯止めをかけられる可能性がある」と述べている。
なお、1人の著者が、ディスカバリー・ヘルスとの金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2022年1月3日)
https://consumer.healthday.com/bnt126b2-still-effective-but-less-so-against-omicron-2656196839.html
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2119270
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