メタボ構成因子該当数に応じてCOVID-19関連ARDSリスクが相加的に上昇
メタボリックシンドローム(MetS)構成因子の該当数が多くなるに従い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のリスクが相加的に上昇することが明らかになった。米テュレーン大学のJoshua L. Denson氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に12月22日掲載された。
MetS構成因子である肥満や糖代謝異常、高血圧は、COVID-19重症化のリスク因子として知られている。ただし、それらが重複した場合に重症化リスクがより高くなるのか否かという視点での研究は、これまであまり行われていない。Denson氏らは、COVID-19患者のMetSの構成因子該当数と、COVID-19によるARDSや死亡リスクとの関連を検討した。
検討には、ウイルス性呼吸器疾患の多国籍多施設共同コホート研究(Viral Respiratory Illness Universal Study;VIRUS)のデータを用いた。2020年2月15日~2021年2月18日に、26カ国、181施設から、COVID-19入院患者4万6,441人のデータが報告されていた。このうち、PCR検査でCOVID-19罹患が確認されていること、18歳以上、研究への参加同意、退院までの経過を追跡可能、症例数が10人以上の施設からの報告などの条件を満たす2万9,040人を解析対象とした。
解析対象者の平均年齢は61.2±17.8歳、54.1%が男性であり、人種/民族は、57.8%が白人、23.4%が黒人、18.3%がヒスパニック。主要評価項目は院内死亡率で、二次評価項目は、ARDS、ICU入室、侵襲的人工呼吸管理など。肥満、糖代謝異常(前糖尿病または糖尿病)、高血圧、および脂質異常症の4つのうち3つ以上当てはまる患者をMetSと定義すると、17.5%が該当した。
年齢、性別、人種/民族、併存疾患数、報告施設の症例数などの共変量を調整後、MetS群の院内死亡率は非MetS群より有意に高かった〔調整オッズ比(aOR)1.19(95%信頼区間1.08~1.31)〕。また、ARDS〔aOR1.36(同1.12~1.66)〕、ICU入室〔aOR1.32(1.14~1.53)〕、侵襲的人工呼吸管理〔aOR1.45(1.28~1.65)〕もMetS群に多く、群間差が有意だった。さらに、在院日数やICU入室期間は、MetS群の方が有意に長かった(いずれもP<0.001)。
MetS構成因子の該当数とCOVID-19重症化リスク上昇との有意な関係は、以下に示すように、ARDS発症率において明確に認められた。構成因子の該当数が1の場合、ARDSを呈した患者は10.4%で非MetS群と有意差がなかったが(P=0.83)、該当数が2の場合は15.3%であり、該当数1の群との間に有意差が認められた(P<0.001)。さらに、該当数が3では19.3%がARDSを呈し、該当数2の群との間に有意差があり(P<0.001)、また該当数4では24.3%がARDSを呈し、該当数3の群との間に有意差が認められた(P<0.01)。
この結果を基に著者らは、「米国のCOVID-19罹患率やCOVID-19関連死が世界で最も高いレベルにある理由の一つは、米国のMetSや肥満、糖尿病の有病率が高いことが関係している可能性がある」と述べている。
なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年1月3日)
https://consumer.healthday.com/metabolic-syndrome-linked-to-odds-of-ards-death-in-covid-19-2656090100.html
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2787394
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