COVID-19の重症度とは無関係に気道病変が遺残する
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に数カ月間にわたり呼吸器症状が続くケースが少なくないことが報告されているが、そのようなケースでは、末梢気道病変が長期間遺残していることが画像所見として確認された。また、呼気終了前に吸気が始まるエアートラッピングを認める割合は、COVID-19罹患時の重症度とは相関がないことも分かった。米アイオワ大学カーバー医科大学のAlejandro Comellas氏らの研究によるもので、詳細は「Radiology」に3月15日掲載された。
この研究の対象は、2020年6~12月に同大学の関連医療機関で、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染後の急性後遺症(post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection;PASC)と診断された100人。COVID-19パンデミック前の2018年3~8月の間に登録されていた、性別、年齢、人種/民族が一致する106人を対照群として設け、これら両群の胸部CT画像所見を比較した。
PASC群は年齢中央値48歳、女性が66人。急性期に67%は外来管理可能であった。その他のうち17%は入院を要し、16%はICU入室を要していた。CT検査にて、すりガラス状陰影(ground glass opacity;GGO)を認めた割合は、外来群では3.7%であったのに対して、入院群では13.2%、ICU群では28.7%であり、後二者は外来群より有意に高かった(両群ともにP<0.001)。
一方、エアートラッピングが見られた割合は、外来群25.4%、入院群34.6%、ICU群27.3%と同等であり、いずれの群も対照群の7.2%より有意に高かった(P<0.001)。エアートラッピングは、残気率(総肺気量に対する残気量の割合。RV/TLC)と有意に相関していた(r=0.6、P<0.001)。
論文の上席著者であるComellas氏はこの結果を、「PASC患者の末梢気道病変は、COVID-19急性期の重症度とは無関係であることを示唆している」とまとめている。また同氏は、「一般的な呼吸器検査だけを行っていたとしたら、これらの患者の肺も正常に見えたであろう。COVID-19感染後にも呼吸器症状が持続している患者には、CTを含む積極的な検査を施行して末梢気道病変の有無を確認すべきだ」と提案している。
同氏によると、PASC患者に見られるそのような末梢気道病変について、「いずれそれらが消失するのか、それとも慢性化の始まりを示しているのかは明らかでない」という。ただし、「恐らく、両方のケースがあるだろう」とのことだ。つまり、完全に回復する患者もいる一方で、慢性化する患者もいるという考え方だ。
最近の研究では、SARS-CoV-2感染者の最大30%が数カ月間にわたって、何らかの症状の持続を経験すると報告されている。具体的には、倦怠感や頭痛、記憶力や集中力の低下、嗅覚と味覚の喪失、そして、息切れや慢性的な咳などの呼吸器症状だ。「Long COVID」とも称されるそれらの症状の原因の一つは、感染が免疫系を過剰に活性化し、体内で持続的な炎症反応を引き起こしているためと考えられている。ただし、Long COVIDに悩まされる人とそうでない人の差が何なのかはいまだ明らかでない。(HealthDay News 2022年3月15日)
https://consumer.healthday.com/3-15-long-covid-may-bring-long-term-lung-damage-2656889269.html
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/radiol.212170
Editorial
https://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiol.220449
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