COVID-19罹患後に自己免疫性疾患、自己炎症性結合組織障害が増加
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に自己免疫性疾患や自己炎症性結合組織障害が増加するとする研究結果が報告された。延世大学校原州医科大学(韓国)のSung Ha Lim氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に10月6日掲載された。
COVID-19罹患後に自己免疫性疾患や自己炎症性結合組織障害が発症する可能性を示唆した症例報告やケースシリーズが、既に複数発表されている。ただし、その発症リスクなどの詳細は明らかになっていない。Lim氏らは、韓国疾病予防管理庁のCOVID-19関連データおよび同国の国民健康保険データを用いた後方視的解析により、この点を検討した。
解析対象は、2020年10月8日~2021年12月31日にPCR検査により診断されたCOVID-19患者35万4,527人(平均年齢52.24±15.55歳、女性50.50%と、COVID-19罹患の記録のない他疾患の患者613万4,940人(同52.05±15.63歳、50.12%)。人口統計学的因子、社会経済的地位、生活習慣関連因子、併存疾患を含む計32項目の共変量を逆確率重み付け法により調整し、自己免疫性疾患や自己炎症性結合組織障害の発症リスクを多変数Cox比例ハザードモデルにて比較した。
その結果、以下の自己免疫性疾患または自己炎症性結合組織障害については、COVID-19群で発症リスクが有意に高いことが明らかになった。円形脱毛症は調整ハザード比(aHR)1.12(95%信頼区間1.05~1.19)、全頭脱毛症はaHR1.74(同1.39~2.17)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎はaHR2.76(1.64~4.65)、クローン病はaHR1.68(1.31~2.15)、サルコイドーシスはaHR1.59(1.00~2.52)。
また、COVID-19急性期の重症度と発症リスクとの有意な関連も認められた。具体的には、急性期にICU入室を要したか否かで二分した検討から、乾癬、白斑、ANCA関連血管炎、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、サルコイドーシスについては、ICU入室を要した群でのみ、対照群との発症リスク差が有意だった。特にANCA関連血管炎は、ICU入室を要さなかった群のaHRが1.30(0.63~2.65)と非有意であるのに対して、ICU入室を要した群ではaHR4.36(2.47~7.68)であり4倍を超えるリスク差が存在した。
年齢で層別化したサブグループ解析から、40歳以上では円形脱毛症、全頭脱毛症、ANCA関連血管炎のリスクが高く、40歳未満ではクローン病、関節リウマチ、成人スチル病、サルコイドーシスのリスクが高いことが示された。また性別のサブグループ解析からは、女性では白斑、ANCA関連血管炎、サルコイドーシスなど、男性では乾癬、成人スチル病、全身性硬化症、強直性脊椎炎などのリスク上昇が認められた。
著者らは、「われわれの研究により、COVID-19に罹患した患者には潜在的な後遺症として、自己免疫性疾患や自己炎症性結合組織障害のリスクが存在することが浮き彫りになった」と結論付けている。また、「COVID-19罹患後の患者に対する長期的な健康状態のモニタリングに際しては、自己免疫性疾患や自己炎症性結合組織障害に関連する症状を評価する必要もあるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2023年10月10日)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2810259
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