アレルギー疾患の存在がlong COVIDのリスクを高める可能性
アレルギー疾患を有することが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)急性期後の症状の遷延、いわゆるlong COVIDのリスク因子である可能性を示唆する研究結果が報告された。マクデブルク大学(ドイツ)のDoreen Wolff氏らが行ったシステマティックレビューの結果であり、詳細は「Clinical & Experimental Allergy」に11月8日掲載された。
アレルギー疾患がlong COVIDのリスク因子の一つであることを示唆するデータが報告されているが、それを否定するデータも存在し、結論が得られていない。また、このトピックに関するシステマティックレビューはまだ行われていない。これを背景としてWolff氏らは、2020年1月1日~2023年1月19日に、PubMed、Scopus、WHO-COVID-19データベースなどに公開された論文を対象とするシステマティックレビューを実施した。
適格基準は、long COVIDの症状を12カ月以上追跡し、アレルギー疾患との関連が解析されている前向きコホート研究であり、英語またはドイツ語で執筆されている原著論文とした。検索でヒットした論文の参考文献も、採否の検討対象に含めた。前向きコホート研究以外のデザインで行われた研究や、原著論文以外は除外した。
検索で8,729報がヒットし、重複削除後の6,053報をタイトルと要約に基づくスクリーニングにより79報に絞り込み、全文精査を行い最終的に13件の研究報告をレビューの対象として抽出した。研究参加者は合計9,967人(1件当たり39~1,950人)で、スペインからの報告が4件、スイスが2件であり、その他、米国、ロシア、中国、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、サウジアラビアから各1件報告されていた。Long COVIDの罹患率または有病率は11.1~89.5%の範囲だった(中央値は53.3%)。なお、メタ解析を行うのに十分なデータが得られた研究報告は9件だった。
病院ベースの集団で喘息との関連が検討されていた6件の研究では、4件がlong COVIDの関連が非有意、2件は有意と報告していた。後者のうち1件は、喘息患者のlong COVIDのオッズ比(OR)は11.13という結果を示していた。メタ解析の結果はOR1.94(95%信頼区間1.08~3.50)であり、病院ベースの検討では、喘息がlong COVIDのリスク因子である可能性が示唆された。ただし、喘息との関連を一般住民ベースで検討していた2件の研究は、いずれも関連が非有意と報告しており、メタ解析の結果も非有意だった〔OR1.58(0.14~18.27)〕。
鼻炎との関連は3件の研究報告がメタ解析の対象とされた。それら3件のうち2件は有意、1件は非有意という結果を報告しており、メタ解析からはOR1.96(1.61~2.39)という有意性が示された。アレルギー疾患全般との関連を検討した2件の研究はいずれも非有意と報告しており、メタ解析の結果も非有意だった〔OR0.99(0.80~1.22)〕。
以上を基に著者らは、「アレルギー疾患の治療に当たる医療従事者は、喘息や鼻炎の患者が新型コロナウイルスに感染した場合のlong COVIDリスクが高い可能性のあることを認識する必要があるだろう」と述べている。ただし、「解析対象とされた研究のバイアスリスクが比較的高いため、エビデンスとしての確実性は高くない」とも付け加えている。(HealthDay News 2023年11月15日)
https://www.healthday.com/coronavirus/preexisting-allergic-disease-may-increase-risk-for-long-covid
Abstract/Full Text
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cea.14391
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