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ワクチン接種でPCCリスクが有意に低下

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患前にワクチンを接種していた場合には、COVID-19急性期後の症状の遷延(post-covid-19 condition;PCC)のリスクが有意に低下することが明らかになった。ヨーテボリ大学(スウェーデン)のLisa Lundberg-Morris氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に11月22日掲載された。

 COVID-19パンデミックの初期には罹患時の急性期を乗り切ることが最も重要な課題とされたが、その後、治療法が確立されるに従い、急性期以降のPCCの治療・予防の重要性が相対的に上昇してきている。現時点で、COVID-19罹患前にワクチンを接種済みであることがPCCリスクの低下と関連しているとする報告が複数存在する。ただし、それらの報告を対象に行われたシステマティックレビューでは、研究の異質性が高いとの理由でメタ解析が施行不能だったものもある。また、ワクチンのPCC抑止効果を大規模サンプルで検討した研究はほとんど見られない。これを背景としてLundberg-Morris氏らは、スウェーデンの全国規模のCOVID-19レジストリ(Swedish Covid-19 Investigation for Future Insights - A Population Epidemiology Approach Using Register Linkage;SCIFI-PEARL)を用いた解析を行った。

 この研究では、SCIFI-PEARLのうち、ストックホルムを含む同国の人口の約4割をカバーする地域住民のデータが利用された。同国でワクチン接種が開始された2020年12月27日から、全人口のPCR検査が終了した2022年2月9日までの記録のうち、成人(18歳以上)COVID-19初回感染者58万9,722人を解析対象とした。追跡期間は、2022年11月30日まで、または再感染、ワクチン接種、移住、死亡、およびCOVID-19罹患から28日以上経過後のPCCの診断のいずれかの発生までとした。なお、COVID-19罹患前にワクチンを1回でも接種されていた場合は「接種済み」と定義した。

 COVID-19罹患前にワクチン接種済みだったのは29万9,692人、未接種者は29万30人であり、年齢、性別の分布、COVID-19急性期の重症度には有意差がなかった。追跡期間中に、接種済群の1,201人(0.4%)、未接種群の4,118人(1.4%)がPCCと診断されていた。

 年齢、性別、併存疾患(糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、精神疾患)、社会経済的因子、感染時の優勢変異株、および2019年における医療者との接触頻度などを調整後のCox回帰分析により、罹患前のワクチン接種によりPCCリスクが58%低下するという有効性が確認された〔調整ハザード比(aHR)0.42(95%信頼区間0.38~0.46)〕。

 COVID-19罹患前のワクチン接種回数別に解析すると、1回のみの接種(2万1,111人)での有効性は21%〔aHR0.79(同0.68~0.91)〕、2回接種(20万5,650人)では59%〔aHR0.41(0.37~0.45)〕、3回接種(7万2,931人)では73%〔aHR0.27(0.23~0.32)〕であり、接種回数が多いほどPCCリスクが低下するという用量反応関係が認められた。

 以上の結果を基に著者らは、「COVID-19罹患前にワクチンを接種済みであることと、PCCリスクの低さとの間に有意な関連のあることが示された。ワクチンの接種はCOVID-19罹患リスクの抑制だけでなく、PCCによる疾病負担を抑制するためにも重要であることが浮き彫りになった」と述べている。

 なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年11月27日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/coronavirus/covid-19-vaccination-before-infection-cuts-risk-for-long-covid

Abstract/Full Text
https://www.bmj.com/content/383/bmj-2023-076990

Editorial
https://www.bmj.com/content/383/bmj.p2633

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock


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