ジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象とした臨床成績(国内第3相臨床試験)
代償性肝硬変を含むジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者に対して、 リバビリン不適格/不耐容の既存治療法が使用できない患者を含め、 ハーボニー配合錠のSVR12率は96%に達しました。
本剤の「警告、禁忌を含む使用上の注意」等については注意事項等情報(添付文書)をご参照ください。
試験概要
目的 | ジェノタイプ2の日本人C 型慢性肝炎患者におけるハーボニー配合錠の有効性・安全性を検討する。 |
対象 | 未治療又は前治療のある※1ジェノタイプ2のC 型慢性肝炎患者239 例(C 型代償性肝硬変※2患者34例を含む) ※1インターフェロン又はペグインターフェロンを含む。 ※2 肝硬変の判定基準には、肝生検又はFibroscanの結果(>12.5kPa)もしくはFibroTest®スコア(>0.75)かつAPRIスコア(>2)を用いた。 |
試験方法 | 多施設共同無作為化非盲検試験 |
投与方法 | コホート1はリバビリン(RBV)適格で、未治療又は前治療のある患者214 例(未治療例146 例、既治療例68例)をそれぞれ、ハーボニー配合錠を1日1回12 週間経口投与する群106 例(未治療例72例、既治療例34 例)と、ソホスブビル(SOF)を1日1回及びリバビリン600 ~1,000mg(体重に基づいた1日用量)を1日2回、12週間併用経口投与する群108例(未治療例74例、既治療例34例)に1:1で無作為に割り付けた。コホート2はリバビリン不適格/不耐容で、未治療又は前治療のある患者25例(未治療例13例、既治療例12例)に、ハーボニー配合錠を1日1回12 週間経口投与した。 |
主要評価項目 | SVR12率[投与終了から12 週間後のHCV RNA 量が定量下限値(15 IU/mL)未満を達成した患者の割合]、安全性 |
副次評価項目 | SVR4 率及びSVR24 率、薬剤耐性、血中HCV RNA 動態、ウイルス陰性化率、ウイルス学的転帰、背景因子別のサブグループ解析等 |
その他の有効性評価項目 | ベースラインのNS5A 及びNS5B 耐性関連変異の有無別のサブグループ解析 |
解析計画 | 主要評価項目は、Full Analysis Set(FAS)にて解析を実施することとした。主要解析は、コホート1でのハーボニー配合錠12 週間投与のソホスブビル・リバビリン併用12 週間投与に対する非劣性の検定とし、臨床的に意義のある非劣性マージンは10%とした。SVR12率に関する2つの投与群間の差の両側95%信頼区間をMantel-Haenszel法による層別解析に基づき算出し、非劣性を評価した。背景因子別のサブグループ解析は、年齢(65歳以上/ 未満)、性別(男性/ 女性)、代償性肝硬変(なし/ あり)、前治療(なし/あり)、ベースラインのNS5A 及びNS5B 耐性関連変異の有無等について実施することとした。 |
ジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3 相臨床試験:試験デザイン
患者背景
ジェノタイプ2のC型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第3 相臨床試験:患者背景
主要評価項目:SVR12率[ジェノタイプ2]
リバビリン適格症例におけるハーボニー配合錠12週投与のSVR12率は96.2%でした
◆患者集団別のSVR12率[ジェノタイプ2]
サブグループ解析:背景因子別SVR12率[ジェノタイプ2]
代償性肝硬変の有無、年齢、インターフェロンを含む治療歴の有無にかかわらず、高いSVR12率が達成されました。
投与前におけるNS5A/NS5B耐性関連変異の有無※1(その他の有効性評価項目)
- NS5A耐性関連変異はNS5Aのアミノ酸部位24、28、31、58、92又は93での対応する標準配列からの変異を、NS5B耐性関連変異はNS5Bのアミノ酸部位96、142、159、237、282、289、320又は321での対応する標準配列からの変異をディープシークエンス法を用いて検出した。耐性解析対象集団。
コホート1(リバビリン適格)(n=105※2)
- 安全性解析対象集団に含まれる患者106例のうち、ウイルス学的転帰に関する結果が得られなかった1例を除く。また、BLAST解析によりジェノタイプ1bと判定された1例を含む。
コホート2(リバビリン不適格/不耐容)(n=25)
なお、NS5B 阻害剤(NS5B NI)に対する耐性関連変異は、ベースラインでシークエンスデータが得られた236例中12例(5.1%:リバビリン 適格のハーボニー配合錠投与群で6 例、SOF+RBV併用投与群で6 例)に検出され、ハーボニー配合錠12 週投与により6 例中5 例がSVR12を達成しました。
副次評価項目:HCV RNA量の推移/ウイルス陰性化率[ジェノタイプ2]
血中HCV RNA量は速やかに低下し、ハーボニー配合錠投与によるウイルス陰性化率は投与4週時点で98.1%以上でした。
◆投与期間中のHCV RNA量のベースラインからの変化量の推移
◆ウイルス陰性化率※5
副次評価項目:薬剤耐性[ジェノタイプ2]
ハーボニー配合錠12週投与後に再燃に至った4例では、新たなNS5A耐性関連変異の出現は認められませんでしたが、1例でNS5B耐性変異S282Tの出現が認められました。
◆ハーボニー配合錠投与群でウイルス学的再燃に至った患者において検出されたベースライン及び投与後の耐性関連変異(アッセイカットオフ値15%)
安全性[ジェノタイプ2]
安全性のまとめ
(1)副作用
リバビリン適格のハーボニー配合錠投与群106 例中17例(16.0%)、ソホスブビル・リバビリン併用投与群108 例中45 例(41. 7%)、リバビリン不適格/
不耐容のハーボニー配合錠投与群25 例中4 例(16. 0%)に副作用が発現しました。主な副作用は、リバビリン適格のハーボニー配合錠投与群で頭痛5 例(4.7%)、便秘4 例(3.
8%)、悪心3 例(2. 8%)等、ソホスブビル・リバビリン併用投与群で貧血24 例(22. 2%)、頭痛5例(4.6%)、倦怠感4 例(3.7%)、溶血性貧血4 例(3.7%)、そう痒症3
例(2.8%)等、リバビリン不適格/不耐容のハーボニー配合錠投与群で頭痛1例(4. 0%)、そう痒症1例(4. 0%)、発疹1例(4. 0%)、腎機能障害1例(4. 0%)でした。
本試験において、重篤な副作用は認められませんでした。また、投与中止に至った副作用として、リバビリン適格のハーボニー配合錠投与群で1例(関節リウマチ悪化)が報告されました。
なお、治験薬と関連なしと判断されましたが、リバビリン適格のハーボニー配合錠投与群で1例(転倒による多発外傷)の死亡例が報告されています。
(2)有害事象
コホート1(RBV 適格) | コホート2(RBV 不適格/不耐容) | |||
---|---|---|---|---|
ハーボニー配合錠投与群(n=106) | SOF+RBV 併用投与群(n=108) | ハーボニー配合錠投与群(n=25) | ||
安全性 | 有害事象 | 60(56.6%) | 77(71.3%) | 18(72.0%) |
Grade 3/4 有害事象 | 2(1.9%) | 1(0.9%) | 1(4.0%) | |
重篤な有害事象(SAE) | 1(0.9%)※ | 1(0.9%)† | 1(4.0%)‡ | |
副作用 | 17(16.0%) | 45(41.7%) | 4(16.0%) | |
重篤な副作用 | 0 | 0 | 0 | |
有害事象による投与中止 | 1(0.9%) | 2(1.9%) | 0 | |
有害事象による用量調節 又は休薬 | 0 | 19(17.6%) | 0 | |
死亡 | 1(0.9%)** | 0 | 0 | |
臨床検査値 異常 | Grade 3/4 臨床検査値異常 | 8§(7.5%) | 11(10.2%) | 4(16.0%) |
ヘモグロビン<10g/dL | 1(0.9%) | 13(12.0%) | 6(24.0%) | |
ヘモグロビン<8.5g/dL | 0 | 1(0.9%) | 2(8.0%) |
例数(%)
- SAE(コホート1のハーボニー配合錠投与群):マロリー・ワイス症候群
** 試験治療下外(転倒による多発外傷)
† SAE(ソホスブビル+リバビリン併用投与群):股関節部骨折
‡ SAE(コホート2のハーボニー配合錠投与群):脳梗塞
§ コホート1のハーボニー配合錠投与群のみGrade 4 の2 例[クレアチンキナーゼ増加、国際標準比(INR)増加]を含む。
(3)ALTへの影響(参考情報)
◆ALT値(U/L)