PrEPの処⽅とその後の流れ
- PrEPは、ツルバダ配合錠1回1錠を毎⽇ほぼ同じ時間に服⽤するHIV感染予防⽅法です(デイリーPrEP)1,2
- HIV感染リスクがある性交渉の7⽇前からPrEPを開始することで、デイリーPrEPの予防効果が得られます1
- 飲み忘れても翌⽇2錠飲んではいけないことを、ツルバダ配合錠を服⽤する⽅に説明します1
5. 効能⼜は効果に関連する注意(⼀部抜粋)
<曝露前予防>
5.2 本剤はHIV-1感染症を完全に予防できるとは限らない。本剤を使⽤する場合は,他のHIV-1感染予防⼿段(コンドームの使⽤,パートナーのHIV-1感染状態の把握,性感染症の定期的な検査等)と併⽤して使⽤すること。
8. 重要な基本的注意(⼀部抜粋)
<曝露前予防>
8.7 本剤を服⽤している間は,少なくとも3カ⽉ごとに,検査によりHIV-1陰性であることを確認すること。
8.8 本剤によるHIV-1感染症の曝露前予防効果が認められているのは,1⽇1回連⽇投与した場合であるため,服⽤者に対して1⽇1回連⽇投与を遵守するよう指導すること。
8.9 本剤の⻑期投与による影響については現在のところ不明である。
PrEP処⽅時のカウンセリング
- 受診時には、性感染症(STI)とそれらの予防に関してカウンセリングを⾏います1
- PrEPによる⾼い予防効果を得るために、服薬アドヒアランスのサポートやカウンセリングも必要です1
- PrEPを利⽤する⽅がHIV、B型・C型肝炎、STIに感染するリスクを最⼩限に抑えるためのサポートも重要です1
PrEP処⽅後の流れ
- PrEP処⽅後および継続中は、ウイルス感染や副作⽤のリスクに応じて定期的なフォローアップが必要です1
- ※1:女性・トランスジェンダー男性で3ヵ⽉ごとに⾏う
- ※2:PrEP服用後1ヵ⽉以内に消失する副作⽤
- ※3:男性間性交渉者(Men who have sex with men; MSM)およびトランスジェンダー⼥性で感染リスクが⾼い場合、3ヵ⽉ごとに⾏う
- ※4:PrEP開始時に≧50歳もしくはeCCr<90mL/minの場合、6ヵ⽉ごとに⾏う
- 令和2〜4年度厚⽣労働省科学研究費補助⾦(エイズ対策政策研究事業) 「HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究」研究分担者:⾕⼝俊⽂、研究代表者:⽔島⼤輔.⽇本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利⽤の⼿引き【第1版】.
https://jaids.jp/wpsystem/wp-content/uploads/2023/10/tebiki-1Pver.pdf. 2024/07/17閲覧 - ツルバダ®配合錠 電⼦添⽂ 2024年8⽉改訂(第4版)
PrEPによる副作⽤の管理
- 副作⽤はアドヒアランス低下につながるため、ツルバダ配合錠服⽤時に起こり得る副作⽤をPrEPを利⽤する⽅に伝えておく必要があります1
- 急性腎障害や急性HIV感染など、緊急の評価が必要となる場合の徴候や症状についても、PrEPを利⽤する⽅に説明しておく必要があります1
PrEP開始時に注意すべき副作⽤
- ツルバダ配合錠を⽤いたPrEPでは、スタートアップ症候群と呼ばれる服⽤後1ヵ⽉以内に消失する短期的な副作⽤が現れる可能性があります1
スタートアップ症候群とは1,2
PrEP継続時に注意すべき副作⽤
- ツルバダ配合錠を⽤いたPrEPではまれに腎機能障害、膵炎、脂肪肝、⾻密度減少が現れることがあるため、定期的に検査を実施して、臨床検査値に異常が認められた場合は投与を中⽌するなど、適切な対処が求められます3
8. 重要な基本的注意(⼀部抜粋)
8.2 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併⽤療法を⻑期間⾏った患者において,⾻粗鬆症が現れ,⼤腿⾻頚部等の⾻折を起こした症例が報告されている。⻑期投与時には定期的に⾻密度検査を⾏う等⾻密度減少に注意し,異常が認められた場合には適切な処置を⾏うこと。なお,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において,144週間の投与により腰椎と⼤腿⾻頚部の⾻密度の減少が⾒られている。⾻密度の減少した患者の⼤部分は,投与開始後24〜48週⽬にかけて発現し,以降は144週⽬まで持続していた。
11. 副作⽤(⼀部抜粋)
11.1 重⼤な副作⽤
11.1.1
腎不全⼜は重度の腎機能障害(0.3%)
腎機能不全,腎不全,急性腎障害,近位腎尿細管機能障害,ファンコニー症候群,急性腎尿細管壊死,腎性尿崩症⼜は腎炎等の重度の腎機能障害が現れることがあるので,臨床検査値に異常が認められた場合には,投与を中⽌する等,適切な処置を⾏うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。[7.3,8.1,9.2.1,10.2,16.6.1
参照]
11.1.2
膵炎(0.1%)
⾎中アミラーゼ,リパーゼ,⾎中トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には,投与を中⽌する等,適切な処置を⾏うこと。
11.1.3
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫⼤(脂肪肝)(頻度不明)
乳酸アシドーシス⼜は肝細胞毒性が疑われる臨床症状⼜は検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には,本剤の投与を⼀時中⽌すること。特に肝疾患の危険因⼦を有する患者においては注意すること。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与⼜はこれらの併⽤療法により,重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫⼤(脂肪肝)が,⼥性に多く報告されている。
- 令和2〜4年度厚⽣労働省科学研究費補助⾦(エイズ対策政策研究事業) 「HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究」 研究分担者:⾕⼝俊⽂、
研究代表者:⽔島⼤輔.⽇本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利⽤の⼿引き【第1版】.
https://jaids.jp/wpsystem/wp-content/uploads/2023/10/tebiki-1Pver.pdf. 2024/07/17閲覧 - Grant RM, et al.: N Engl J Med 2010; 363(27): 2587-2599.
著者にギリアド・サイエンシズ社より⽀援を受けている者、ギリアド・サイエンシズ社の社員である者、ギリアド・サイエンシズ社の株式を有している者が含まれます。 - ツルバダ®配合錠 電⼦添⽂ 2024年8⽉改訂(第4版)
PrEPの中⽌と再開
PrEPの中⽌理由
- PrEPを利⽤する⽅は、さまざまな理由でPrEPの中⽌を希望することがあります1
- 中⽌理由を問わず、PrEPを中⽌する際には以下のことを記録しておきます1
PrEP継続中にHIV検査が陽性となった場合
- HIV検査が陽性となった場合は、直ちにPrEPを中⽌してHIV確認検査を実施します1
- HIV診療体制が整っていない場合には専⾨医へ速やかに紹介し、HIV感染したPrEPを利⽤する⽅の健康やメンタルのサポートを⾏います1
腎機能が低下してきた場合
- 定期検査などでeCCrが60mL/minを下回った場合、PrEPを継続することは困難になります1
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(⼀部抜粋)
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度及び重度の腎機能障害のある患者
<効能共通>
エムトリシタビン及びテノホビルの⾎中濃度が上昇する。[7.3,8.1,10.2,11.1.1,16.6.1 参照]
<曝露前予防>
クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の者への投与は推奨されない。[8.1,10.2,11.1.1 参照]
HIV感染以外の理由でPrEPを中⽌する場合
- デイリーPrEPを中⽌してから7〜10⽇でHIV感染からの予防効果が低下します1
- 中⽌を検討する際は、HIV感染のリスクを減らすために曝露後予防内服(Post-exposure prophylaxis; PEP)などの代替⼿段について、PrEPを利⽤する⽅と話し合う必要があります1
- 直近のHIV感染リスクを考慮して、最後のリスクのある性交渉から7⽇間、ツルバダ配合錠を服⽤し、その後中⽌します1
PrEPを再開する場合
- PrEPを再開する際には、PrEP開始前の評価(HIV抗原・抗体検査・肝炎ウイルス検査・腎機能検査・STI検査)、PrEP再開後は3ヵ⽉ごとのPrEP処⽅およびフォローアップが必要になります1
- PrEPを中⽌していた期間にHIVに感染した可能性を考え、HIV検査を繰り返し受ける必要があることを伝えます1
- 令和2〜4年度厚⽣労働省科学研究費補助⾦(エイズ対策政策研究事業) 「HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究」 研究分担者:⾕⼝俊⽂、 研究代表者:⽔島⼤輔.⽇本におけるHIV感染予防のための曝露前予防(PrEP)利⽤の⼿引き【第1版】.
https://jaids.jp/wpsystem/wp-content/uploads/2023/10/tebiki-1Pver.pdf. 2024/07/17閲覧