治療開始前の注意事項
- 本品の投与は、製造販売業者による認定を受けた施設にて、造血幹細胞移植及び造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を有し、かつ製造販売業者による本品に関する必要な説明を受けた医師のもとで行ってください。
- 本品はヒト・動物由来の原材料を使用して製造されています。これらの原材料に起因する感染症伝播のリスクを完全には排除することができないため、本品の使用に際しては臨床上の必要性を十分に検討してください。
患者の選択
投与対象の患者
対象患者 | 注意点 |
---|---|
以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫a:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫の患者 |
|
a:組織型はWHO分類(改訂版第4版[2016])に基づく。
臨床試験における選択基準及び除外基準については、こちらをご参照ください。
最適使用推進ガイドラインによる投与対象外の患者a
|
a:イエスカルタ最適使用推進ガイドライン(https://www.pmda.go.jp/files/000268652.pdf)
投与禁忌の患者
対象患者 | 注意点 |
---|---|
本品の成分aに対し過敏症の既往歴のある患者 | 投与しないでください。 |
原材料として用いる非動員末梢血単核球を採取した患者本人以外 | 投与しないでください。 |
a:本品はジメチルスルホキシド(5%)、ヒト血清アルブミン(2.5%)を含みます。本品の製造過程でゲンタマイシンを使用しています。
慎重に投与すべき患者
対象患者 | 注意点 |
---|---|
B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者、HIVの感染者 | ウイルスが再活性化又は増加するおそれがあります。白血球アフェレーシスを実施する前に肝炎ウイルス感染、HIV感染の有無を確認してください。 |
感染症を合併している患者 | 骨髄抑制等により感染症が増悪するおそれがあります。なお、活動性の感染症が認められた場合は、回復するまで本品の投与を延期してください。 |
肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者に本品を投与する場合の注意事項については、こちらをご参照ください。
留意すべき患者
対象患者 | 注意点 |
---|---|
高齢者 | 一般に生理機能が低下していますので、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。 |
妊婦又は妊娠している可能性のある女性 | 原則として投与しないでください。やむを得ず投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。 |
授乳婦 | 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。 |
小児等 | 小児等を対象とした臨床試験は実施していないため、有効性及び安全性は確立していません。18歳未満の製造は受け付けていません。 |
相互作用(併用注意)
対象品 | 注意点 |
---|---|
生ワクチン (乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥BCG等) |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると病原性をあらわす可能性がありますa。本品投与後、免疫機能が回復するまでは、生ワクチンを用いた予防接種は推奨されませんb。 |
a:ZUMA-1試験及びJ201試験では、リンパ球除去化学療法開始予定前の6週間以内の生ワクチン接種患者を除外基準に設定していました。
b:米国添付文書(https://www.fda.gov/media/108377/download)
※可能な範囲で患者の腫瘍細胞のCD19抗原検査を実施し、CD19抗原発現の有無をご確認ください。
イエスカルタ患者紹介用フォームは以下よりダウンロードいただけます。
イエスカルタ患者紹介用フォーム参考
WHO分類(改訂版第4版「2016」)の「Large B-cell lymphomas」の一覧1)
Diffuse large B-cell lymphoma, NOS(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・非特定型) |
Other lymphomas of large B cells(他の大細胞型リンパ腫)
|
High-grade B-cell lymphoma(高悪性度B細胞リンパ腫)
|
B-cell lymphoma, unclassifiable(B細胞リンパ腫・分類不能)
|
日本語の分類名:日本血液学会による造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版から引用しました。
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al.: WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. 4th ed. World Health Organization Classification of Tumours. 2017.