ZUMA-7試験〈4年フォローアップ解析〉1)(海外データ)
ZUMA-7試験の第III相試験においてイエスカルタによる治療又は標準治療を受けた患者を対象として、4年フォローアップ解析*を行いました。
- *:追跡期間中央値47.2ヵ月(データカットオフ日:2023年1月25日)。
有効性
OS【重要な副次評価項目・主解析】
最初の無作為化日から5年後時点のOS中央値はイエスカルタ群で未到達、標準治療群で31.1ヵ月で、OSの有意な延長と死亡リスクの低下が示されました(P=0.03、層別Log-rank検定、両側有意水準:0.0498)。
標準治療群の57%がプロトコール外治療として三次治療以降に細胞療法を受けていました。
NE(not estimable):推定不能
Adapted with permission from N Engl J Med., Westin JR, et al.,
Survival with Axicabtagene Ciloleucel in Large B-Cell Lymphoma., 389(2)., 148-157.
Copyright © 2023 Massachusetts Medical Society.
参考:後治療の内訳
例数(%)
イエスカルタ群 (N=180) |
標準治療群 (N=179) |
|
---|---|---|
すべての後治療 | 88(49) | 128(72) |
細胞療法 | 14*3(8) | 102*4(57) |
自家 抗CD19 CAR T細胞療法 | - | 99(55) |
イエスカルタ | - | 79(44) |
イエスカルタ以外の自家 抗CD19 CAR T細胞療法 | - | 20(11) |
その他の細胞療法 | - | 5(3) |
同種 抗CD19 CAR T細胞療法 | - | 1*4(1) |
自家 抗CD19/CD22 二重特異性 CAR T細胞療法 | - | 1(1) |
抗CD22 CAR T細胞療法 | - | 2*4(1) |
臍帯血由来のNK細胞療法 | - | 1(1) |
細胞療法以外の免疫療法*1 | 35(19) | 32(18) |
化学免疫療法 | 73(41) | 77(43) |
HDT+ASCT | 13(7) | 7(4) |
HDT+AlloSCT | 14(8) | 7(4) |
分子標的療法*2 | 18(10) | 11(6) |
他に含まれない治験薬の臨床試験 | 3(2) | 2(1) |
ステロイド | 8(4) | 16(9) |
放射線療法 | 16(9) | 28(16) |
外科療法 | 2(1) | 2(1) |
複数の後治療が行われた場合、それぞれの治療法を記載した(例:救援化学療法後にHDT+ASCTが施行された場合、化学免疫療法とHDT+ASCTの両方を記載)。イエスカルタ群の後治療はプロトコールに準じた。CAR T細胞療法に用いたフルダラビン、シクロホスファミド、ベンダムスチン、ブスルファン及びシクロホスファミドは、リンパ球除去化学療法とした。
- *1:チェックポイント阻害剤を含む。
- *2:BTK阻害剤、BCL2阻害剤、EED阻害剤、及びHSP90阻害剤。
- *3:文献内に内訳の記載なし。
- *4:イエスカルタを投与した患者2例ではその他の細胞療法(同種 抗CD19 CAR T細胞療法1例、抗CD22 CAR T細胞療法1例)も施行されたため、細胞療法を受けた全患者数は、自家 抗CD19 CAR T細胞療法を投与した患者数とその他の細胞療法を受けた患者数の合計と一致しない。
AlloSCT(allogeneic stem cell transplant):同種造血幹細胞移植、BTK(Bruton’s tyrosine kinase)、BCL2(B-cell lymphoma 2)、EED(embryonic ectoderm development protein)、HSP90(heat shock protein 90)
安全性
有害事象*1、サイトカイン放出症候群・神経系事象*2【その他の副次評価項目】
最初の無作為化日から5年後時点の有害事象は、イエスカルタ群では170例中170例(100%)、標準治療群では168例中168例(100%)に認められました。サイトカイン放出症候群はイエスカルタ群の157例(92%)、神経系事象はイエスカルタ群の103例(61%)、標準治療群の33例(20%)に認められました。
有害事象、サイトカイン放出症候群・神経系事象の一覧
基本語 | イエスカルタ群(N=170) | 標準治療群(N=168) | ||
---|---|---|---|---|
全グレード | グレード3以上 | 全グレード | グレード3以上 | |
すべての有害事象 | 170(100) | 155(91) | 168(100) | 140(83) |
発熱 | 158(93) | 15(9) | 43(26) | 1(1) |
好中球減少症*3 | 121(71) | 118(69) | 70(42) | 69(41) |
低血圧 | 75(44) | 19(11) | 25(15) | 5(3) |
貧血 | 71(42) | 51(30) | 91(54) | 65(39) |
疲労 | 71(42) | 11(6) | 87(52) | 4(2) |
下痢 | 71(42) | 4(2) | 66(39) | 7(4) |
頭痛 | 70(41) | 5(3) | 43(26) | 3(2) |
悪心 | 69(41) | 3(2) | 116(69) | 9(5) |
洞性頻脈 | 58(34) | 3(2) | 17(10) | 1(1) |
白血球減少症*4 | 55(32) | 50(29) | 43(26) | 37(22) |
血小板減少症*5 | 50(29) | 25(15) | 101(60) | 95(57) |
悪寒 | 47(28) | 1(1) | 14(8) | 0 |
低リン血症 | 45(26) | 31(18) | 29(17) | 21(13) |
低カリウム血症 | 44(26) | 10(6) | 49(29) | 11(7) |
振戦 | 44(26) | 2(1) | 1(1) | 0 |
食欲減退 | 42(25) | 7(4) | 42(25) | 6(4) |
咳嗽 | 42(25) | 1(1) | 18(11) | 0 |
錯乱状態 | 40(24) | 9(5) | 4(2) | 0 |
低酸素 | 37(22) | 16(9) | 13(8) | 7(4) |
失語症 | 36(21) | 12(7) | 0 | 0 |
浮動性めまい | 36(21) | 2(1) | 21(13) | 1(1) |
便秘 | 34(20) | 0 | 58(35) | 0 |
嘔吐 | 33(19) | 0 | 55(33) | 1(1) |
低マグネシウム血症 | 20(12) | 1(1) | 34(20) | 4(2) |
発熱性好中球減少症 | 6(4) | 6(4) | 46(27) | 46(27) |
サイトカイン放出症候群*6 | 157(92) | 11(6) | ― | ― |
発熱 | 155/157(99) | 14/157(9) | ― | ― |
低血圧 | 68/157(43) | 18/157(11) | ― | ― |
洞性頻脈 | 49/157(31) | 3/157(2) | ― | ― |
悪寒 | 38/157(24) | 0/157(0) | ― | ― |
頭痛 | 32/157(20) | 2/157(1) | ― | ― |
低酸素 | 31/157(20) | 13/157(8) | ― | ― |
神経系事象 | 103(61) | 36(21) | 33(20)*7 | 1(1) |
振戦 | 44(26) | 2(1) | 1(1) | 0 |
錯乱状態 | 40(24) | 9(5) | 4(2) | 0 |
失語症 | 36(21) | 12(7) | 0 | 0 |
脳症 | 29(17) | 20(12) | 2(1) | 0 |
錯感覚 | 8(5) | 1(1) | 14(8) | 0 |
譫妄 | 3(2) | 3(2) | 5(3) | 1(1) |
発現例数(%)
MedDRA version 25.1
EFS主解析(データカットオフ日:2021年3月18日)以降、新たに発現した治療関連死亡は認められませんでした。
- *1:
いずれかの群で20%以上に発現した有害事象。イエスカルタ群で15%以上に発現したサイトカイン放出症候群。イエスカルタ群で15%以上、又は標準治療群で3%以上に発現した神経系事象。サイトカイン放出症候群の重症度は、modified Lee基準2)に従って分類した。神経系事象及びサイトカイン放出症候群の症状を含むすべての有害事象の重症度は、CTCAE ver.4.03を使用して分類した。
- *2:
EFSの主解析以降、いずれの群においてもサイトカイン放出症候群、神経系事象ともに新たな報告はなかったが、MedDRA ver. 23.1から25.1への変更及び神経系事象の分類に使用される基本語の若干の変更により、EFS主解析時に認められた有害事象3件 (イエスカルタ群:片麻痺2件、標準治療群:瞳孔不同1件) が、OS主解析時に神経系事象として再分類された。神経系事象が報告されていない患者で1件の片麻痺が確認されたため、神経系事象を発現した患者割合がEFS主解析時より1%増加した。
- *3:
好中球数減少を含む。
- *4:
白血球数減少を含む。
- *5:
血小板数減少を含む。
- *6:
サイトカイン放出症候群の内訳は発現件数(%)。
- *7:
標準治療群の1例又は2例で報告された基本語には、激越、認知障害、意識レベルの低下、幻覚、嗜眠、傾眠、味覚障害、瞳孔不同症、精神緩慢、幻視、頭部不快感、感覚鈍麻、記憶障害、神経痛、眼振を含む。
Adapted with permission from N Engl J Med., Westin JR, et al.,
Survival with Axicabtagene Ciloleucel in Large B-Cell Lymphoma., 389(2)., 148-157.
Copyright © 2023 Massachusetts Medical Society.
- Westin JR, et al.: N Engl J Med 389(2), 148-157, 2023
本試験はKite社の支援を受けている。著者の中にKite社から雇用を受けている者、アドバイザリーボード料を受けている者などが含まれる。 - Lee DW, et al.: Blood 124(2), 188-195, 2014