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CO-US-540-5961(IMPAACT 2032)試験(海外第Ⅳ相試験)
(海外データ)
電子添文改訂時評価資料:社内資料(GS-US-540-5961試験)
試験概要
目的 | 妊婦および妊娠する可能性がある非妊婦に対しCOVID-19治療のためにベクルリーを投与した時の薬物動態及び安全性を評価する。 レムデシビルの薬物動態を調べた授乳婦におけるレムデシビルの母乳中検出頻度、レムデシビル及びGS-441524の母乳中及び血漿中の相対濃度を記載する。 |
対象 | 試験開始時にCOVID-19と診断され、ベクルリーを投与された妊婦25例(アーム1)及び妊娠する可能性がある非妊婦28例(アーム2) |
方法 | 試験薬としてベクルリーは提供されず、被験者はCOVID-19の臨床治療の一環としてベクルリーを投与されることが試験参加の条件であった。被験者はCOVID-19の治療のため入院し、本剤を通常5日間、場合によっては最長10日間点滴投与された(開始用量200mg/日、維持用量100mg/日)。試験への登録はベクルリー投与開始前でも開始後でも可能であったが、4回目のベクルリー投与開始前までに登録される必要があった。 |
主要評価項目 | アーム1(妊婦): 非コンパートメント薬物動態パラメータ(レムデシビルAUC、t1/2、GS-441524 Ctrough)、臨床安全性及び臨床検査における安全性の結果(最終投与後7日までのGradeを問わない母体の腎・肝・血液学的有害事象、最終投与後4週間まで及び分娩期間*中の有害事象、出産/妊娠転帰、新生児の身体検査) |
副次評価項目 | アーム2(妊娠する可能性がある非妊婦): 非コンパートメント薬物動態パラメータ(レムデシビルAUC、t1/2、GS-441524 Ctrough)、臨床安全性及び臨床検査における安全性の結果(最終投与後7日までのGradeを問わない腎・肝・血液学的有害事象、最終投与後4週間までの有害事象) |
解析計画 | (サンプルサイズ)妊婦の薬物動態の結果が非妊婦の薬物動態の結果の30%以内であるかどうかを示せる試験になるよう、各群で少なくとも20例のサンプルサイズが選択された。 (薬物動態)薬物動態は、薬物動態評価解析集団を用いて解析された。投与前から点滴終了後3時間、点滴終了後5時間、7時間、点滴終了後23時間の4検体中3検体が採取された被験者が解析集団に含まれた。R2<0.75の被験者は、λz、t1/2、及びVzのパラメータサマリーから除外された。レムデシビル及びその代謝物の血漿中濃度及び薬物動態パラメータは、アーム別及び妊娠期間別(該当する場合)に記述統計を用いて要約した。さらに、薬物動態パラメータの幾何平均値(レムデシビルAUC、t1/2、GS-441524 Ctrough)と90%信頼区間(CI)をアーム別に示した。また、レムデシビルAUC、t1/2、GS-441524 Ctroughについて、アーム1とアーム2の幾何平均比の90% CIも算出した。 (安全性)安全性は、ベクルリーが投与された全症例を含む安全性解析集団を用いて解析された。投与期間中から最終投与後4週間までと、分娩期間中(アーム1のみ)に発現した有害事象の例数と発現率を群別にまとめた。臨床検査値及びバイタルサインも同様にまとめた。分娩転帰及び新生児身体検査の結果は、アーム1について要約した。 |
試験デザイン
第IV相前向き非盲検非無作為化薬物動態試験
- ベクルリーは提供されず、臨床治療の一環として投与されていることが本試験の参加条件である (すなわち臨床試験外で投与)
- 授乳中の女性のためにIntensive PKおよび最終投与後48時間のデータ収集時点で母乳収集をオプションで実施する(アーム 1およびアーム 2)
主な組み入れ基準
アーム1(妊婦):試験開始時に子宮内妊娠(妊娠期間は問わない)、COVID-19と診断または疑いで入院している、試験開始時にベクルリーを投与中または投与予定がある
アーム2(非妊婦):18~45歳、出生時に女性として届けられている、試験開始時に妊娠していない、COVID-19と診断または疑いで入院している、試験開始時にベクルリーを投与中または投与予定がある
主な除外基準
試験開始時に4回目のベクルリー投与を開始または受けている、試験開始時に閉経していることが確認されている
患者背景(安全性解析対象集団)
レムデシビルおよびその代謝物の薬物動態パラメータ
(アーム1:主要評価項目、アーム2:副次評価項目)
- COVID-19の治療のために、ベクルリーが投与された妊婦21例及び非妊婦22例におけるレムデシビルの薬物動態パラメータは以下の通りでした。
- COVID-19の治療のために、ベクルリーが投与された妊婦21例及び非妊婦22例におけるレムデシビルの中間代謝物GS-704277の薬物動態パラメータは以下の通りでした。
- COVID-19の治療のために、ベクルリーが投与された妊婦21例及び非妊婦22例におけるレムデシビルの中間代謝物GS-441524の薬物動態パラメータは以下の通りでした。
安全性:有害事象及び臨床検査値異常の発現状況
アーム1:妊婦における有害事象(主要評価項目)
アーム1の安全性解析対象は25例であった。
- *
各評価期間別の分母は、期間終了前に観察不能かつ有害事象を生じなかった患者を除いたため異なる。
各評価期間別の有害事象の例数は以下のとおりであった。
- 点滴期間中及び投与初日から最終投与後48時間までの期間が15/24例(62.5%)
- 投与初日から最終投与後7日までの期間が16/24例(66.7%)
- 投与初日から最終投与後4週間までの期間が16/24例(66.7%)
- 分娩期間中が3/17例(17.6%)
- 最終投与後4週間及び分娩期間が16/22例(72.7%)
各評価期間別の主な有害事象は以下のとおりであった。
- 投与初日から最終投与後7日までの期間は、呼吸困難7例(28.0%)、リンパ球減少症4例(16.0%)、呼吸不全4例(16.0%)、COVID-19肺炎3例(12.0%)、ヘモグロビン減少3例(12.0%)、低血圧3例(12.0%)・ 投与初日から最終投与後4週間及び分娩期間は、呼吸困難7例(28.0%)、ヘモグロビン減少4例(16.0%)、リンパ球減少症4例(16.0%)、呼吸不全4例(16.0%)、COVID-19肺炎3例(12.0%)、低血圧3例(12.0%)
各評価期間別の重篤な有害事象は以下のとおりであった。
- 点滴期間中及び投与初日から最終投与後48時間までの期間が3/23例(13.0%)
- 投与初日から最終投与後7日までの期間が5/23例(21.7%)
- 投与初日から最終投与後4週間までの期間が5/21例(23.8%)
- 分娩期間中が2/17例(11.8%)
- 最終投与後4週間及び分娩期間までが6/18例(33.3%)
最終投与後4週間及び分娩期間の重篤な有害事象の内訳は、呼吸不全2例(8.0%)、胎児心拍数減少異常、無力症、胎児死亡、加重型妊娠高血圧腎症、急性呼吸不全、肺塞栓症、低血圧 各1例(4.0%)であった。
なお、ベクルリーに関連すると考えられるGrade 3/4の有害事象はなかった。また、死亡もなかった。
また、臨床検査値異常は、20例(80.0%)に認められ、5例(20.0%)はGrade 3以上であった。Grade 3以上の臨床検査値異常の内訳は、ALT増加、AST増加、重炭酸塩減少が各1例(5.6%)、ヘモグロビン減少が3例(13.6%)であった。
アーム2:非妊婦における有害事象(副次評価項目)
アーム2の安全性解析対象は28例であった。
- *
各評価期間別の分母は、期間終了前に観察不能かつ有害事象を生じなかった患者を除いたため異なる。
各評価期間別の有害事象の例数は以下のとおりであった。
- 点滴期間中及び投与初日から最終投与後48時間までの期間が15/26例(57.7%)
- 投与初日から最終投与後7日までの期間が15/25例(60.0%)
- 投与初日から最終投与後4週間までの期間が15/25例(60.0%)
各評価期間別の主な有害事象は以下のとおりであった。
- 投与初日から最終投与後7日までの期間における主な有害事象は、急性呼吸不全4例(14.3%)、リンパ球減少症、上腹部痛、血糖上昇、ヘモグロビン減少、呼吸困難各2例(7.1%)
- 投与初日から最終投与後4週間までの期間における主な有害事象は、リンパ球減少症、上腹部痛、血糖上昇、ヘモグロビン減少、呼吸困難各2例(7.1%)
各評価期間別の重篤な有害事象は以下のとおりであった。
- 点滴期間中及び投与初日から最終投与後48時間までの期間が3/25例(12.0%)
- 投与初日から最終投与後7日までの期間が3/23例(13.0%)
- 投与初日から最終投与後4週間までの期間が4/23例(17.4%)
投与初日から最終投与後4週間までの重篤な有害事象の内訳は、ヘモグロビン減少、物質誘発性精神障害、急性呼吸不全、肺塞栓症、呼吸困難、呼吸不全各1例(3.6%)であった。
ベクルリーに関連すると考えられる有害事象は、3例(10.7%)に認められ、その内訳は、徐脈、洞性徐脈、糸球体濾過量減少各1例(3.6%)であった。投与中止に至った有害事象は2例(7.1%)に認められ、その内訳は徐脈、洞性徐脈の各1例(3.6%)であった。死亡はなかった。
また、臨床検査値異常は、20例(71.4%)に認められ、2例(7.1%)はGrade 3以上であった。Grade 3以上の臨床検査値異常の内訳は、AST増加、白血球減少が各1例(3.6%)であった。
有害事象はMedDRA Version 25.0による。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラット及びウサギを用いた胚・胎児への影響に関する試験で、レムデシビル20mg/kgまでを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の4倍に相当)、胚・胎児発生に対する影響は認められなかった。雌ラットを用いた受胎能及び初期胚発生への影響に関する試験において、レムデシビル10mg/kgを静脈内投与した場合(主要血中代謝物(ヌクレオシド類似体)の全身曝露量(AUC)が国内承認用量投与時曝露量の1.3倍に相当)、黄体数・胚着床数・生存胚数の減少が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、レムデシビル及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。公表文献において、本剤の静脈内投与後、レムデシビル及び代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524)がヒト乳汁中に移行することが報告されている。