本ページは特定の背景を有する患者にベクルリーを推奨することを意図したものではありません。電子添文に沿った適正使用にご協力ください。
本ページは、「ベクルリー治療を速やかに、“軽症~重症”の幅広い入院対象患者に。」というメッセージ“Earlier & Broader”の趣旨に則るものです。
特定の背景を有する患者(腎障害、肝障害、免疫不全など)に関する電子添文改訂情報、最新データを紹介しています。
特定の背景を有する患者(肝障害、授乳婦)に関わる電子添文の改訂部分
「ベクルリー®点滴静注用100mg(一般名:レムデシビル)」は2024年5月に、電子添文を第10版に改訂しました。主な変更点は下記となります1)。
肝機能障害患者の項目
GS-US-540-9014試験のデータに基づき2)、以下の改訂がなされました。
- 「ALTが基準範囲上限の5倍以上の患者
投与しないことが望ましい。肝機能障害が悪化するおそれがある。肝機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。」の記載が「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」の項目から削除されました。
授乳婦の項目
CO-US-540-5961試験のデータに基づき3)、以下の改訂がなされました。
- 「動物実験(ラット)において、レムデシビル及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。」の文章が削除され、「レムデシビル及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。」の文章が削除され、レムデシビル及び代謝物であるヌクレオシド類似体(GS-441524)がヒト乳汁中に移行することが報告されている5)。」の文章が追記されました。
1)ベクルリー点滴静注用100mg電子添文2024年5月改訂(第10版)
2)電子添文改訂時評価資料:社内資料(GS-US-540-9014試験)
3)電子添文改訂時評価資料:社内資料(IMPAACT 2032[CO-US-540-5961試験])
4)電子添文改訂時評価資料:Wada YS, et al.: J Hum Lact. 2022;38(2):248-251
5)電子添文改訂時評価資料:Bertrand K, et al.: Abstract, APHA Annual Meeting &Expo 2022
特定の背景を有する患者にベクルリーを投与するにあたって
特定の背景を有する患者にベクルリーを投与する際は、以下の点にご留意ください。くわしくは最新の電子添文をご参照ください。
腎機能障害
- 腎機能障害があらわれるおそれがあります。
- 投与前及び投与開始後は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。
肝機能障害
- 重大な副作用として肝機能障害が報告されています。
- ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は検査値異常が認められた場合には、投与を中止してください。
- 投与前及び投与開始後は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察してください。
妊婦・授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。
小児
- 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
高齢
- 生理機能の低下、既往歴や合併症を伴っていることが多いため、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。
ベクルリー点滴静注用100mg電子添文2024年5月改訂(第10版)
特定の背景を有する患者の実臨床データ
ベクルリーの特定の背景を有する患者(高齢、腎機能障害、肝機能障害、免疫不全)および代表的な実臨床成績をご紹介します。
高齢
腎機能障害
- 【腎機能・肝機能データ】腎代替療法を行っていないeGFR<30mL/minのCOVID-19患者に対するレムデシビルの国内単施設試験における安全性評価
Umemura T, et al.: Healthcare (Basel). 2022 Nov 17;10(11):2299. doi: 10.3390/healthcare10112299. 本論文の著者の一部はギリアド・サイエンシズ社より過去に助成金を受けています。
- 【腎機能・肝機能データ】腎機能障害のあるCOVID-19患者におけるベクルリーの安全性と有効性に関する傾向スコアマッチング解析(海外データ)
Yang E, et al.: BMC Infect Dis. 2024; 24(1): 3. doi: 10.1186/s12879-023-08859-9.
肝機能障害
免疫不全
- オミクロン株BA.1ならびにBA.2流行期におけるベクルリー早期投与の有用性に関する論文より(免疫抑制状態の患者を対象とした海外データ)
Rajme-López S, et al.: Open Forum Infect Dis. 2022 Oct 6;9(10):ofac502. doi: 10.1093/ofid/ofac502.